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 SARASA 2009夏号


2009年 夏号

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 特集 政治を問う 〜高速増殖炉 引くに引けない事情〜
 高速増殖炉「もんじゅ」で、1995年の運転停止以来13年間、原子炉内に装荷されたままだった核燃料の健全性を調べようと、昨年3月に原子炉から核燃料を取り出す際、事前に所長にも報告が義務付けられているにもかかわらず、こんなに大事なことを承認は事後になっていた。
 北朝鮮の核ミサイル問題、ロシア、中国、南アジアが国防費と軍事力の増強により、将来に備え国土の防衛が必要となる。また、国際テロリスト、原子力発電所一五基と「もんじゅ」に大量に運び込まれているプルトニウムの安全管理と、敦賀海上保安部や県警、敦賀美方消防組合消防本部の役割はさらに大きくなる。
 高速増殖炉「もんじゅ」は、26年前の昭和58年5月に建設工事に着工。昭和62年に原子炉格納容器建方が完了した。
←原子炉格納容器

 ようやく一三年前の八月、出力40%でたった一時間だけの発電でナトリウム漏れによる大惨事が起きた。
 今なお一三年間稼動できないということは、運転にあたって大きな問題を抱えていると思われる。建物自体も建設から30年が過ぎれば耐震設計と老朽化による補強が必要に迫られる。海水や雨水に直接さらされる排気ダクトなどが腐食する。
 高速増殖炉は、ウランを燃料とする一般的な原発と違い、プルトニウムを使う。使った以上のプルトニウムを生み出すことから「夢の原子炉」といわれていた。
 一方、水や空気に触れると激しい化学反応を起こす冷却用ナトリウムの取り扱いが難しいプルトニウムは、核兵器への転用が容易でもある。
 高速増殖炉は実験炉と原型炉と実証炉を経て、本格的な電力会社での発電所建設となる。実証炉までが国の責任と資金で賄い、電力会社の協力で進める。
 茨城県大洗町で実験炉「常陽」の後を引き継ぎ、現在敦賀市で原型炉「もんじゅ」として実験データを収集すべく遮二無二臨海をめざし、実証炉の段階へ進むことになる。
 原発による発電量が七割を超える原子力大国フランスが、世界初の高速増殖実証炉、出力124万キロワットのスーパーフェニックスが30年前に建設され、12年間の稼働率は7%だったが、燃料貯蔵タンクからナトリウムが漏れるなどのトラブルが相次ぎ、98年運転が停止され10年が過ぎた。
 一兆円の費用をかけ廃炉作業が進んで膨大な金の無駄遣いとなっている。
 またイギリスでは出力25万キロワットだった高速増殖炉原型炉の廃炉作業が進む。21年前、開発する必要がないと実験炉は経済性がなしと政府の支援が一五年前打ち切られた。
 火山大国日本は、地熱発電、高低差のある農業用水、または自然の瀧などを利用した水車発電、太陽光発電、風力発電など比較的設備資金も安い。採算が合わなくて止める時も格安な自然エネルギーに重点を置く必要がある。研究開発費を触り向ける時期にきている。50年も前の計画で進んだ高速増殖炉は、経済コストが割高で廃炉にも大金が必要だ。引くにも引けない莫大な国費が投下されている。